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「夫が父親になるのを見てみたい」
私は二つの気持ちと付き合いながら妊活に取り組んでいるが、ある時、知人から「あなたは精神的に追い込まれている」と告げられる。自分の本心を知るために、信頼するセラピストのあなざわゆきさんの「未妊セラピー」を受けることにした。
セッション当日、カウンセリングで「子どもを持つことへの不安」について聞かれた。話しているうちに、私の口から女だらけの世界(ママの世界)への嫌悪感が溢れ出した。
嫌悪感の源泉は何なのか?ぱっと頭に浮かんだのは、高校時代に私が部活で起こした「事件」のことだった。
▼前回までの記事を読む▼
妊活中なのに、子どもはそれほど…。原因は高校時代のトラウマだった(1)
妊活中なのに、子どもはそれほど…。原因は高校時代のトラウマだった(2)
記事の内容をざっくり言うと…
吹奏楽部員のメンタルを削る「アンサンブル」とは
高校時代、私は吹奏楽部に入っていた。
部員数は50人弱で、9割以上が女子。
徳島県内では、演奏レベルも、熱量も、そこそこ高いほうの部活だった。
日常的な部活の運営は、基本的に部員たちに委ねられていて、
強豪校によくあるような、顧問の絶対王政みたいな部活ではなかった。
私たちの部活と運動部との違いは、基本的に「補欠」がいないことだ。
吹奏楽コンクール、定期演奏会、文化祭の演奏…、
どれも部員が全員一緒に参加する。
しかし、年間行事でひとつだけ、毛色の違う活動がある。
数人規模の小編成で演奏する「アンサンブル」だ。
毎年冬に、全日本アンサンブルコンテストという大会があり、
部活内で、クラリネット四重奏、金管八重奏といったチームに分かれて出場する。
吹奏楽の経験がある方ならよく分かると思うが、
吹奏楽部にとって、アンサンブルのチーム分けは、非常にデリケートな問題だ。
顧問が決めたり、オーディションで選ぶ学校もあるのだろうけど、
話し合いで決めるパターンが一番多いんじゃないだろうか。
レベルが偏らないように、余り者が出ないように、など、
さまざまな地雷を避けながら、最大多数の最大幸福を目指さなければならない。
普段からレギュラー争いがある運動部なら、部員の分断は比較的受け入れやすいのかもしれない。
(レギュラー争いなら実力で選抜するという明確な基準があるし。)
それに対して、
全員一緒が基本、そして部員の大多数が女子である吹奏楽部の場合、
こういったチーム分けの際に、めちゃくちゃメンタルを削られる。
もっと言えば、コンテストのチーム分けに限らず、
一部の部員が自発的にチームを組もうとするときも、他の部員はざわつくと思う。
「なんか、あの3人だけでアンサンブル曲を練習してるけど、あれは何?(ヒソヒソ)」といった具合に。
そんな世界で、私は、見事に地雷を踏んだ。
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私が部活で起こした「事件」とは?
コンテストの前だったのか、
それとも自発的な活動だったのかは、覚えていないけれど、
私は、部活の中で、
理想のメンバーを集めたアンサンブルチームの結成を画策してしまった。
(厳密に言えば、言い出しっぺの男の子と2人で。)
当時の私は、部活の中では器用に演奏できるほうだった。
旋律を任されればある程度引っ張っていけるし、音程やリズム感にも自信があった。
ぶっちゃけ、上手いメンバーだけで演奏してみたいな、とぼんやり思っていた。
そんな時、言い出しっぺの子(彼は部内でも特に演奏が上手だった)から、
「上手い子たちに声かけて、アンサンブルやってみん?」と誘われた。
私は、二つ返事で引き受けた。
上手い人が誘ってくれたことも、私の演奏力を評価してくれたのかな、と嬉しかった。
彼はさっそく他の部員にも声をかけていた。
しかし、アンサンブル結成への動きを察知した同級生の女の子たちが、私たち2人をたしなめた。
やりたいやりたいと言っているだけならまだしも、勝手にメンバー集めをはじめたことと、
メンバー勧誘のやり方が強引だったことが問題視された、と記憶している。
結局、アンサンブル計画は、立ち消えになった。
この時の私の心の内については後述するが、
とにかく、
大人になった私が抱いている「女の世界への嫌悪感」の源泉を考えたとき、
ぱっと頭に浮かんだのが、この事件だった。
トラウマの定義
セラピストのあなざわゆきさんは、うんうん、と頷きながら、親身になって聞いてくれた。
そして「トラウマ」についておしえてくれた。
トラウマの定義は、専門家によって解釈が分かれるようだが、
あなざわさんは、以下の条件が揃ったケースをトラウマと定義しているそうだ。
- 突然起きた
- 予想していなかった
- ショック度が大きかった
- 自分一人で対処しなければならなかった
- どうしたらいいかわからなかった
トラウマというと、大災害、事故、いじめなど、わかりやすく重大な出来事を連想するけれど、
実際は、普通の人生のありふれた出来事に潜んでいるものみたいだ。
私は、高校時代の部活の事件について、
「確かに失敗したけれど、この程度の失敗なんて、
世の中のいろんな人の人生と比べれば、とるに足らないものだ」
と思っていた。
でも、トラウマの定義には、「人と比べて」なんて書いてない。
私にとっては、じゅうぶん、突然・予想外・大ショック・一人ぼっち・混乱の出来事であり、トラウマと言えそうだ。
今日のセラピーでは、高校時代の部活のトラウマを癒していくことに決めた。
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31歳の私が、高校生の私に会いに行く
あなざわさんの未妊セラピーは、本来はヒプノセラピーを実施している。
しかし、今回の私のケースでは
EFT(エモーショナル・フリーダム・テクニック)と、
EFTを発展させたMR(マトリックス・リインプリンティング)というツールを使用したほうが
効果的だということで、それでお願いした。
EFT(エモーショナル・フリーダム・テクニック)とは
EFTとは、Emotironal Freedom Techniqueの略で、日本語訳は、「感情解放のテクニック」です。ものすごく乱暴にまとめると、「針を使わない心の針治療」と言われ、経絡を指二本で軽くタッピングしながら感情を解放していくツールです。溝口あゆか氏のブログより引用
MR(マトリックス・リインプリンティング)とは
“リインプリンティング”とは、「再刷り込みをする」という意味で、マトリックス(量子フィールド)に新しいポジティブなイメージや感情を再刷り込みをするという意味です。溝口あゆか氏のブログより引用
いよいよ、セラピーが始まった。
ふかふかでリクライニングができる、セラピー用のチェアに全身を預ける。
ひざ掛けをかけてもらって、目を閉じた。
イメージの中で、トラウマのシーンにアクセスしていく。
31歳の私が、タイムマシンに乗って高校生の私に会いに行く。
あなざわさんは、感情の解放を促すツボ(手のひらの側面など)を指でトントンと刺激しながら誘導する。
実際の記憶ではなく、心象風景なのかもしれないが、音楽室が見えてきた。
勝手にアンサンブルを組もうとした私たち2人と、他の同級生の女の子たちが、円になってカーペットの上に座っている。
あなざわさんは、
「どんな風景が見えますか?」
「高校生のあなたは、どんな気持ちを感じていますか?」
といった言葉で、イメージをサポートする。
私が一番ショックを受けたこととは?
同級生の女の子たちにたしなめられて、私はどんな気持ちだったのか?
ひとつは、自分のやったことが、わがままで、子どもっぽくて、恥ずかしかった。
「理想のメンバーだけ集めてアンサンブルを組みたいなんて勝手だ。
しかも、やり方が強引だ」
という同級生からの指摘は、
(この部活のカルチャーにおいては)真っ当な主張だと思った。
自分はリーダーシップがとれて、協調性もあるタイプだと自負していたけれど、
実際はこんなに身勝手な振る舞いをする人間だったのか、と悲しかった。
でも、それよりもっとショックなことがあった。
同級生からの指摘は、一対一、の形ではなかった。
「あなたの行動が間違っていると思っている人は、一人だけじゃないんだよ」
という論調で告げられた。
つまり、私がいない場所で
「あれって、おかしいよね?」
「あたしもそう思う」
「やっぱり、そうよね」
という地盤固めがあり、
「いざ本番!」で私に投げかけた、という流れがあったんだ、と思った。
これが一番ショックだった。
「信頼関係があると思っていたのに、なんで、すぐに私に言ってくれなかったんだろう」と思った。
今となっては、
気が強い私を相手に、一対一なんて言いづらかったんだろうなと、想像できるけど、
高校生の私は、この状況で、同級生の女の子たちの気持ちまで思いやれる余裕はなかった。
今後も、自分が「これがいい!」「やりたい!」と思って振る舞うと、
また知らないうちに下手こいて、嫌われるんじゃないか、と思った。
「共感」や「同調」が力になる女の世界は、できれば避けたい、と思うようになった。
ここまで文章に書いた内容は、セラピーを通じて見えてきた。
あなざわさんに、感情解放のツボをトントンとタッピングされるのは、嫌な感じは全然なかった。
むしろ「お手当」みたいな安心感があった。
タッピングで、感情解放がどれだけ促進されたのか、私自身には、よくわからない。
でも、トラウマのシーンで何が一番ショックだったのか、ちゃんと解きほぐすことができた。
感情を解放したら、いよいよポジティブなイメージに書き換えていく。
(続く)
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「ネガティブな思い込みを成仏!編」です。
最後までお付き合いいただけますと幸いです。
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「未妊セラピー」体験記、第3弾です。
このシリーズは、未婚・既婚、子あり・子なしを問わず、アラサー女子からの反響がアツいです!
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とっても励みになります。ありがとうございます。
ずっとタイトルでひっぱってきた「高校時代のトラウマ」編、今回よ〜〜やく書けましたので、どうぞ!