美意識をこじらせて大人になった私へ『だから私はメイクする』(劇団雌猫)

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まっちゃん.
こんにちは。まっちゃん(@futtekonai)です。

突然ですが、あなたは美容・おしゃれが好きですか?

アラサー女子
人並みにキレイにしなきゃとは思うけど、好きかって言われたら、困っちゃう…
まっちゃん.
今回の本は、美容・おしゃれ=義務と感じてしまって息苦しいアラサー女子は必読!

『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』(劇団雌猫)をご紹介します。

美意識をこじらせて大人になってしまった私が、心から「キレイになりたい!」」って思えた一冊です。

『だから私はメイクする』を読む前、美意識をこじらせて

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27歳の時、よく働きよく稼ぎ、デパコスを愛用する同年代の女子と温泉に行った。

湯上がりの脱衣所で彼女がこんなことを口にした。

「スキンケア特集とかでさー、ニベアの青缶よく載ってるじゃん。あれ本当に使ってる人いるのかな?」

私は、どうなんだろうねぇ〜と曖昧な返事で流した。

そして、彼女から見えないようにニベアのチューブを絞り、急いでベタベタと顔に塗りたくった。

どうかこの話題がすぐに終わりますように、と祈りながら。

 

私は美意識をこじらせている。だって、どうせ上手くできないから。

メイクもファッションも、私がやると野暮ったくて、他の女子たちのようにはなれないと諦めてきた。

会社にはメイクして出勤してたのに、自分の結婚式のスピーチで上司に「彼女はすっぴんで頑張っています!」と紹介されてしまった。

確かに緊急出動ですっぴんの時もあったけど、メイクが下手だっただたけです。

身だしなみができない部下で大変申し訳ありませんでした。

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美意識をこじらせた結果、美容にいそしみキレイな女子たちを斜に構えて見てきた。

お金いっぱいあるんだなぁ。(貯金してるのかなぁ)

時間の余裕もあるんだなぁ。(他にやることないのかなぁ)

エステ行ったらそんなに変わるもんかなぁ。(ていうかもともと美人だもんなぁ)

他人を細かく査定してんだろうなぁ。(恥ずかしいから見られたくないなぁ)

 

私は、興味の対象が違う人だから。装うことは下手だけど、文章ならそこそこ書けるから。

だから、美容やおしゃれがイマイチでもいいの。

社会人の義務としてメイクも服も最低限に気をつけてみるけど、あなたと私は違うんです。

情けないことに、わりと本気でそう思って自尊心を守ってきた。

 

もちろん、美容やおしゃれがまったく上達しないわけではない。

診断を受けてマシになったし、珍しく上手くできて気分が上がった経験もある。

それでも、キレイな女子はキレイな星の下に生まれたのであって、

特に美容に関しては、よその星に生まれた私ごときがあがいても成果は微々たるもの、と長く思ってきた。

私みたいなもんには、何千円もするデパコスは分不相応。ワンコインで買えるニベアの青缶でいいのだ、と。

 

そんな私の価値観が、この一冊を読んでガラガラと崩壊した。

キレイな女子と私の決定的な違い。

それはどれだけ「自分のために」装いを楽しんでいるか、ということだった。

『だから私はメイクする』の内容をざっくり言うと

『だから私はメイクする』

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『だから私はメイクする』は、アラサーオタク女子4人組からなるサークル「劇団雌猫」が手がけた匿名エッセイ集。

劇団雌猫は「インターネットでは言えない話」テーマの同人誌『悪友』シリーズが大人気で、本書は『悪友DX 美意識』が書籍化されたものだ。

そもそも、美意識をこじらせた私がなんでこんな本を手にとったのか。

それは『悪友』シリーズの「東京」編を読んで、劇団雌猫の作品作りに心を鷲掴みにされたから。

劇団雌猫『悪友 vol.3 東京』

劇団雌猫『悪友 vol.3 東京』

『悪友vol.3 東京』は、上京した人、Uターンした人、ずっと地元で暮らす人など、20〜30代の多様な女子が東京に対して抱く愛憎が綴られている。

私は、四国の田舎から東京に出てきた人間で、

社会人経験を積んだ29歳という年齢での東京デビュー、しかも引っ越しと同時にフリーランスとして再出発してそれなりに辛酸も嘗めたので、

「東京サイコー!」とも「住むなら地元っしょ!」とも言えない複雑な思いを抱えていた。

だから、キラキラも憎たらしさもひっくるめて東京を見つめる『悪友 東京』は、上京4年目の気分にぴったり合った。

劇団雌猫の編集力は、自分でも見過ごすくらい胸の奥のすみっこにいる本音に光を当てて、癒やしてくれる。

そして何より、エッセイの文章がものっすごく面白いのだ。

『だから私はメイクする』美意識高い系女子の文章力に嫉妬する

『悪友』シリーズは、匿名エッセイ集といっても素人の作文集みたいなうすらサムさは微塵もない。

特に『だから私はメイクする』のチャプター1「自分のために」に登場する、美容にハマって頭のネジが外れた女子たちの筆致は、ずるいくらい気持ちいい。

こんな面白い文章、私には書けない。

美意識をこじらせた私が抱いていた「でも文章書けっから」というちっぽけなプライドは、床に落としたパウダーファンデくらい粉々になった。

美容力と文章力は相反するものではないのに、何を都合よく言い訳にしてたのか私は。

 

なんで彼女たちの文章がこんなに面白いのか。

理由のひとつは、彼女たち、そして劇団雌猫のメンバーが「オタク」だから。

本書の書き手たちは、一度ハマったら徹底的に追求するオタク気質で、美容やおしゃれに邁進する。

その半端ない愛と熱量が、活字から湯気のように立ち上ってくるのだ。

『だから私はメイクする』Chapter1「自分のために」の多幸感

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本書は「自分のために」「他人のために」「何かを探して」という3つのチャプターで構成されている。

まず、私のこじらせた美意識をクレンジングしてくれたのが、チャプター1「自分のために」だ。

前述の通り、おしゃれに無頓着だった女の子(主にオタク)が美容やおしゃれに出会い、のめりこんでいく様が語られている。

その過程は、どこかギャグテイストの少年マンガのようで、痛快だ。

 

「指先にファンタジーを描く女」として登場するコツメカワウソさん(29歳・高知県出身)は、ジャニヲタ。

彼女がネイルにハマったきっかけは、こうだ。

そんなある日、仕事中に急にネイルをしてみたくなった。その時に行われていた好きなアイドルのコンサートツアーが終盤を迎えるタイミング。あの大好きだったステージを指の上で再現することにより、ツアーの千秋楽が終わった後も、私の指の上でコンサートは生き続ける…!と急に閃いたのだった。

劇団雌猫『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』

その発想はなかった…!頭のネジの外れ具合が最高。

 

ページをめくるたび、キレイに勤しむ彼女たちの多幸感が溢れ出てきて、私の脳みそにこびりついた汚れを落としていく。

ああ、私って変なプライドを持って、こんっなに幸せなことから目を背けてきたのか、

「自分のために」装わないなんて、なんてもったいないことをしてきたんだ、と気づいた。

『だから私はメイクする』Chapter2「他人のために」装うのは聖域を守るため

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チャプター2は「他人のために」だ。

といっても、社会人だからと義務的にメイクしていた私とは全然違う。

この章に寄稿した女性たちが他人のために装うのは、「自分の聖域を守る」という強い信念があるからだ。

 

「会社では擬態する女」のエボシカメレオンさん(29歳・兵庫県出身)は、

本当は趣味じゃないのに、無印良品的なナチュラルな装いで出勤する。

その理由は、女が前面に出た装いをすると、会社の男たちから「今日デートですか?」といった不要な品定めを受けるからだ。

褒められたくない人たちに褒められると、私の頑張った「おしゃれ」が一気にみじめで恥ずかしいもののように感じられてしまうのだ。

劇団雌猫『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』

彼女が本当にやりたいおしゃれは、会社を出たあとに始まるという。その描写がめちゃくちゃかっこいい。

 

他人の目、ハードな仕事。アラサーの女をとりまく環境は過酷だ。

大切な大切な自分のうるおいを守るために、「他人のために」装う。

そうやって意識を変えるだけで、毎日のメイク時間の意味が違ってきそうだ。

『だから私はメイクする』Chapter3「何かを探して」キレイな星の下の秘密

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チャプター3の「何かを探して」は、パーソナルカラー、育乳、整形など興味深いテーマが続く。

美意識の「闇」にも触れていて、キレイが女の人生でどれだけ大きな意味を持つのか、つくづく思い知らされる。

この章で取り上げたいのが「ドバイで奮闘する女」のツキノワグマさん(30歳・愛知県出身)の言葉だ。

 

彼女はドバイの美容サロンに勤務して、現地の女性たちの美意識に驚いたという。

映画『SEX AND THE CITY 2』でも描かれているが、ドバイの女性たちはイスラムの戒律に従ったアバヤとシェーラの下でたいそうファビュラスな装いをしていて、メイクへのこだわりも強い。

そしてなにより、ネイルアートに自分の似顔絵をリクエストするほど「自分が大好き」なのだという。

日本では謙遜が美徳、という考えからか自分の美しさに自信を持つことにネガティブなイメージを持たれることが多い。どんな美人だって、私なんてそんなに美しいわけではないですよ、という体裁を取り繕っていないといけない。そんなやりとりを生まれてから何百回とすることで、知らず知らずのうちにその小さな自己否定は蓄積され、私たちの自己肯定感を蝕んでしまっている。(中略)

自己肯定は最大の美容液。ドバイの女性たちを見ていると、そんな言葉がぴったりくる。

劇団雌猫『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』

小さな島国に生きる私たちは、どうやらものっすごく重要なことを知らないらしい。

自分に合うコスメがわからないとか、正しいメイクの方法を知らないとかは、実は表面的な問題であって、

潜在意識で「私はキレイになるのにふさわしい女」と思えるかどうか。

それがきっと、「キレイな星の下に生まれた」ということなのだ。

 

星は書き換えることができるはずだ。アラサーからだって。

私は手始めにSNSやブログで使うプロフィール写真を新しく撮り直した。

鏡よりも見る回数が多いプロフィール写真を「なりたい自分」のイメージに近づけることで、美意識も含めて自己肯定感を上げていこうと考えたからだ。

写真は苦手だが、夫に250枚くらい撮ってもらって、粘り勝ちの1枚だ。気に入っている。

『だから私はメイクする』まとめ

『だから私はメイクする』

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「自分がアガるからキレイになりたい」。

本書に寄稿した女性たちの、シンプルでどストレートな思いに、完全降伏した。

100歳まで生きるとして、人生残り70年弱。

一歩間違えば沼…という思いも頭をよぎるが、どうせなら自分のために装ってアガる70年にしたい。

この冬、私はニベアの青缶を封印する。

私がアガる保湿コスメを見つけようと思う。

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まっちゃん.
劇団雌猫は、こんな作品も!
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ABOUTこの記事をかいた人

「私の人生こんなもんじゃない!」と思いつつも今はくすぶってるアラサー女子へ。あなたの背中を押す一冊をブックレビューで紹介します。忙しい人もスラスラ読めてわかりやすい記事を書きます。趣味でコミュニケーションツールとして手相を勉強中。本業は法人・個人サイトの文章を取材執筆するライター。目標はブログ月収10万円|1986年生